高配当株の本当の強さは「増配」だった【2年半で年間配当が3割増えた保有銘柄を公開】

高配当株の本当の強さは「増配」だった【2年半で年間配当が3割増えた保有銘柄を公開】
目次

「配当利回り3.4%の株」と聞いて、どう感じるでしょうか。「悪くないけど、地味だな」——数年前の私はそう思っていました。

でも、いま同じ株が、私の買値に対して利回り7.1%になっています。株価が上がったからではありません。配当そのものが、保有している間に2倍以上に育ったからです。

この記事では、新NISAが始まる直前の2023年12月28日に成長投資枠で買った保有銘柄のうち6つについて、実際の購入単価×配当の実績で「増配がどれだけ効くか」を公開します。結論から言うと、株を1株も買い足していないのに、年間の配当収入は2年半で約3割増えました

高配当株投資の本当の強さは、買った日の利回りではなく、この「育つ力」にあります。


前提:配当利回りは「買った日の数字」でしかない

最初に、この記事の核になる考え方をひとつだけ。

株価情報サイトに出ている配当利回りは、「いまの株価で買った場合」の数字です。でも、あなたが過去に買った株の利回りは、あなたの買値で決まります。

  • 買値ベースの利回り=年間配当 ÷ 自分の購入単価

これをYOC(Yield on Cost・取得利回り)と呼びます。買値は一生変わりません。だから、保有中に増配されるたびに、YOCは一方的に上がっていきますポートフォリオの記事で三菱UFJの「配当が10年で約4倍」に触れましたが、今回はそれを自分の保有銘柄の実額で検証します。


実録:2023年12月に買った6銘柄の配当は、2年半でこう育った

2023年12月28日、新NISAの成長投資枠で買った銘柄のうち6つの記録です(購入単価は実際の約定値。配当はIRBank掲載の実績、2026年度は会社予想)。

銘柄ごとの配当推移とYOC

銘柄購入単価購入時の配当(年)最新の配当(年)配当の伸びYOC(買値利回り)
三菱UFJ1,205.5円41円86円(2026/3実績)2.1倍7.1%
JT3,589円194円242円(2026/12予想)1.2倍6.7%
INPEX1,915円74円108円(2026/12予想)1.5倍5.6%
三菱商事2,262円70円125円(2027/3予想)1.8倍5.5%
三菱HCキャピタル948円37円51円(2027/3予想)1.4倍5.4%
NTT172.4円5.1円5.4円(2027/3予想)1.06倍3.1%

購入時、どの銘柄も利回りは3〜5%台でした。それが2年半後のいま、買値ベースでは多くが5%台後半〜7%台になっています。

とくに三菱UFJは、購入時の2024年3月期が41円、そこから64円→86円と2期連続の大幅増配で、配当が2.1倍。「3.4%の地味な株」だったはずが、私の買値に対しては7.1%を配り続ける株になりました。

6銘柄合計:年間配当は約4.6万円 → 約6.0万円(+31%)

この6銘柄への投資額は合計約110万円です。受け取れる年間配当を「購入時点の水準」と「現在」で比べると——

年間配当(6銘柄計)投資額に対する利回り
購入時点(2023年12月)の配当水準約45,500円約4.1%
現在(2026年・実績ベース)約59,800円約5.4%
会社予想まで含めると約63,000円約5.7%

繰り返しますが、この間、これらの株は1株も買い足していません。私は何もしていない。企業が利益を伸ばし、株主への配分を増やした——それだけで、同じ元本からの「給料」が3割増えたのです。


増配は「配当の複利」になる

インデックス投資の複利は有名ですが、増配株にも複利がかかります。それも二重に。

  1. 増配そのものが複利で効く:年7%の増配が10年続けば、配当は約2倍。私の三菱UFJのように年30%超の増配が続けば、数年で別物になります
  2. 配当の再投資でさらに複利:受け取った配当で同じ増配株を買えば、「増える配当」を生む株数自体が増えていきます

「今の利回り3%台」は入口にすぎず、増配力のある銘柄は、持っている時間そのものがリターンを底上げしてくれる。これが、私が高配当株を「長期保有前提・売らない」で持っている理由です。株価が上下しても配当は受け取れるので、暴落局面でも売らずにいられる心理的な支えにもなっています。

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増配銘柄をどう選んでいるか

私の基準はポートフォリオ記事に書いた3つと同じです。

  1. 財務が健全(自己資本比率が高い)
  2. 増配の実績がある(または配当を維持してきた)
  3. 利回り3%後半〜5%程度(高すぎる利回りはリスクのサイン)

今回の6銘柄で言えば、三菱HCキャピタルは25期以上連続で増配を続けてきた日本を代表する連続増配銘柄です(2026年3月期も増配して記録を更新中)。三菱商事・三井物産のような商社も、「減配せず維持か増配」を掲げる累進配当の代表格です。

過去の配当推移はIRBankで銘柄ごとに無料で確認できます。「利回りランキング」ではなく「配当の推移が右肩上がりか」から入るのが、私の銘柄の見方です。


増配率は何%で見ればいい?調べ方と目安

シミュレーターを使うとき、増配率に何%を入れればいいのかで迷うと思います。ここが一番わかりにくいところなので、私の調べ方を書いておきます。

ステップ1:IRBankで「何年で何倍になったか」を見る

IRBankの配当ページ(例:NTT(9432))を開くと、1株あたり配当の推移が一覧で並んでいます。

ただし、IRBankには「増配率」という列はありません。前期比は出ますが、年平均が何%かは自分で出す必要があります。とはいえ難しい計算は不要で、見るのは2つだけです。

  1. いちばん古い年の配当(10年前でも5年前でもかまいません)
  2. 直近の配当

この2つで「何年で何倍になったか」がわかります。

ステップ2:倍率を年率に換算する

あとは下の表を当てはめるだけです。累乗の計算をしなくても、だいたいの年率がわかります。

配当が5年でその倍率なら10年でその倍率なら
1.2倍3.7%1.8%
1.3倍5.4%2.7%
1.5倍8.4%4.1%
1.8倍12.5%6.1%
2.0倍14.9%7.2%
2.5倍20.1%9.6%
3.0倍24.6%11.6%

逆から見ると、年率のインパクトはこうなります。

増配率10年後の配当20年後の配当
年2%1.22倍1.49倍
年3%1.34倍1.81倍
年5%1.63倍2.65倍
年7%1.97倍3.87倍
年10%2.59倍6.73倍

年5%でも20年で配当は2.65倍です。利回り4%で買った株が、買値ベースでは10%を超える計算になります。

私の保有6銘柄の実測値

冒頭の表を年率に直すと、こうなります。

銘柄期間配当の伸び年平均の増配率
三菱UFJ2年2.1倍年 約45%
INPEX2年1.46倍年 約21%
三菱商事3年1.79倍年 約21%
JT2年1.25倍年 約12%
三菱HCキャピタル3年1.38倍年 約11%
NTT3年1.06倍年 約2%
6銘柄合計2年半1.31倍年 約12%

目安:私は「年3〜5%」で試算しています

ここが大事なところです。上の実測値をそのまま将来に当てはめてはいけません。

三菱UFJの年45%は、金利上昇局面で銀行株の利益が急拡大した数年間の数字です。これが20年続く前提で計算すると、配当が約1,600倍という非現実的な結果になります(10年でも41倍)。同じように、直近数年が絶好調だった商社・資源株の20%台も、そのまま延長できる数字ではありません。

私がシミュレーターに入れるときは、こう使い分けています。

  • 保守的に見たいとき:年3%(NTTのような低成長銘柄も含めた、ポートフォリオ全体の下振れケース)
  • 標準:年5%(増配実績のある銘柄を分散して持った場合の、現実的な線)
  • 強気ケース:年7〜10%(連続増配銘柄が期待どおり伸びた場合の上限イメージ)

低めに見積もって、それでも十分だと思えるかを確認する——シミュレーターはこの使い方が一番役に立ちます。実際より低い数字を入れて満足できるなら、その投資は続けやすいはずです。

なお、増配率がマイナス(減配)でも試算できます。「もし1割減配されたら受取配当はどうなるか」を見ておくと、減配のニュースが出たときに慌てずに済みます。

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正直な注意点:増配は約束ではない

いいことばかり書いてきたので、逆側も正直に。

JTは減配した過去がある

今回YOC6.7%と好成績のJTですが、2021年12月期に154円→140円へ減配した過去があります。当時の株主は「配当が育つ」どころか、減る痛みを経験しています。その後の回復と大幅増配(140円→242円予想)があっての現在です。増配の歴史は、減配の可能性を消してはくれません。

NTTのように「ほぼ育たない」銘柄もある

NTTの配当は5.1円→5.4円と、2年半で+6%。増配は続いているものの、三菱UFJ(+110%)とは馬力がまるで違います。私のNTTのYOCは3.1%と、購入時からほぼ変わっていません。「高配当株」と一括りにしても、増配の力は銘柄ごとに大差がある——6銘柄を並べたこの表自体が、その証拠です。

予想は予想

表の「最新の配当」の一部は会社予想です。業績が崩れれば下方修正も減配もあり得ます。だからこそ、1銘柄に賭けずセクターを分散して保有しています。


まとめ:買った日の利回りで、高配当株を判断しない

  • 配当利回りは「買った日の数字」。保有中の増配で、買値ベースの利回り(YOC)は一方的に上がっていく
  • 2023年12月に買った6銘柄は、2年半で年間配当が約4.6万円→約6.0万円(+31%)に。1株も買い足していない
  • 三菱UFJは配当2.1倍・YOC7.1%。一方でNTTは+6%と、増配の馬力は銘柄で大差がある
  • 増配は約束ではない。JTの減配歴が示すとおり、財務とセクター分散が前提
  • 銘柄選びは「今の利回り」より「配当の推移が右肩上がりか」から

「利回り3%台の地味な株」が、数年後のあなたにとって6%・7%の株に育っているかもしれない——増配株の長期保有は、それを狙う投資です。焦らず、売らず、配当が育つのを待つ。私はこれからも、この方針で続けます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. YOC(取得利回り)とは何ですか?

年間配当を「自分の購入単価」で割った、買値ベースの配当利回りのことです(Yield on Cost)。株価情報サイトの利回りは今の株価に対する数字ですが、YOCは自分の買値に対する数字なので、保有中に増配されるたびに上がっていきます。私の三菱UFJは購入時利回り3.4%でしたが、2年半の増配でYOCは7.1%になりました。

Q2. 増配株は今の利回りが低くても買う価値がありますか?

増配力しだいでは、あります。今の利回り3%でも年7%の増配が10年続けば、買値ベースでは約6%になります。逆に、今の利回りが高くても増配が止まっている銘柄は、その利回りのまま育ちません。私は「今の利回り3%後半〜5%程度」かつ「増配の実績がある」銘柄を選ぶことで、入口の利回りと育つ力の両方を取るようにしています。

Q3. 増配しているかどうかは、どこで確認できますか?

IRBankで銘柄ごとの配当推移が無料で確認できます。私は銘柄を検討するとき、利回りランキングではなく、まず過去10年程度の配当推移が右肩上がりかを見ます。あわせて自己資本比率などの財務も確認し、「増配を続ける体力があるか」まで見るのがおすすめです。

Q4. 増配株なら売らずに持ち続けるべきですか?

私は長期保有前提で、基本的に売りません。保有しているだけでYOCが上がっていくのが増配株の強みで、売却すればその積み上げがリセットされるからです。例外は、業績悪化で減配リスクが高まった場合や、株価上昇で利回りが極端に下がり同じ資金でより効率の良い財務優良銘柄に移せる場合です。

Q5. 減配されたらどうするのですか?

まず減配の理由を確認します。一時的な業績要因か、構造的な衰退かで対応は変わります。実際、保有銘柄のJTには2021年に154円から140円へ減配した過去がありますが、その後242円(予想)まで回復・増配しています。減配イコール即売却ではなく、財務と事業の見通しで判断します。ただし減配リスクをゼロにはできないので、セクター分散で1銘柄の影響を小さくしておくことが大前提です。

Q6. NISAで増配株を持つメリットは何ですか?

配当への課税(約20%)がゼロになるため、増配の効果がまるごと手取りに乗ります。私は新NISAの成長投資枠で高配当株を保有しており、今回の6銘柄の年間配当約6万円も非課税で受け取れています。増配で配当が育つほど、非課税の恩恵も大きくなっていきます。ただしNISA口座で買っただけでは配当は非課税になりません。配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしていないと、NISA口座の株でも約20%が源泉徴収されます。証券会社の設定を一度ご確認ください。

Q7. 増配率は何%で見積もればいいですか?

私は保守的に年3%、標準で年5%、強気ケースで年7〜10%を使い分けています。過去の実測値をそのまま将来に当てはめないことが大切で、たとえば私の保有する三菱UFJは直近2年で年45%相当の増配でしたが、これは金利上昇局面の特殊な数字です。20年続く前提で計算すると非現実的な結果になります。調べ方は、IRBankで「何年で何倍になったか」を確認し、記事内の換算表で年率に直すのが簡単です。低めに見積もっても十分だと思えるかを確認する使い方をおすすめします。


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※本記事は運営者個人の保有記録と体験の共有であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。配当はIRBank掲載の実績および各社予想(2026年7月時点)に基づく概算で、将来の配当を保証するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。詳細は免責事項をご確認ください。

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